ゴーストフィッシング(幽霊漁業)から考える、環境保護

ゴーストフィッシングといった言葉を耳にしたことがありますか。
ゴーストフィッシングは海の生物のみならず、漁業で生計を立てる人たちや私たちにも関係する問題です。
海と私たちの未来を守るために、問題解決へ向けた第一歩を踏み出してみませんか。

ゴーストフィッシング(幽霊漁業)とは

ゴーストフィッシングとは、海中や海底に残された網や釣り糸などが、放置されたあとも海洋生物を捕まえ続けてしまう現象です。
漁具は、耐久性が高く、重量の軽いプラスチックが主に使用されています。
しかし、海に放置されると、耐久性の高さから劣化に時間がかかる上、軽いために遠い場所まで流されてしまいます。
そのため、いつまでも海中に残留し続け、海洋生物を傷つけたり、時には命を奪ってしまったりするのです。

ゴーストフィッシングを引き起こす原因

ゴーストフィッシングの原因には、意図せぬ紛失のみならず、違法な廃棄や意図的な廃棄も含まれています。
意図せぬ紛失は、海が荒れたり、海底の岩や漁具同士の引っかかりなどによって紛失してしまう場合です。
しかし、漁具の維持や修繕にかかるコストを削減するため、意図的に廃棄する業者も存在します。
さらには、違法業者による乱獲時、見通しの悪さや摘発から逃れる際による廃棄など、違法な行為による要因も指摘されています。
意図して廃棄しても、意図せず紛失しても、海洋生物の命にかかわる事態であることに変わりはありません。

ゴーストフィッシングの深刻さ

ゴーストフィッシングは海洋生物だけでなく、漁業者や魚を食べる人、観光資源としている私たちの生活にも影響を与えます。
ゴーストフィッシングが増加すれば、海洋生物や私たちにもさらなる影響がおよぶといえるでしょう。

海洋生物に与える影響

ゴーストフィッシングは、海洋生物の命を奪います。
海中や海底に残された漁具により、海洋生物が引っかかる事故が起こります。
自力で漁具を取り除けず、漁具に絡まった状態が続いた結果、命を落としてしまうのです。
また、漁具が沈むと海底のサンゴ礁や岩場を埋め尽くし、海洋生物の住処をなくすため、生態系の変化につながります。

漁業に与える影響

ゴーストフィッシングにより漁業にもダメージがおよびます。
海洋生物の減少は、漁獲量の減少にもつながり、漁業者の収入も減少するためです。
また、漁獲量の減少により、違法業者による乱獲が増加する可能性もあります。
海中の漁具は船にとって危険物であるため、船の転覆や漁の中止といった問題も起こります。

私たちの生活への影響

ゴーストフィッシングは、私たちの食糧事情や観光資源にもかかわる問題です。
海洋生物の漁獲量が減少することで、私たちが魚を摂取する機会も減少します。
また、魚が吸収したマイクロプラスチックによる影響も懸念されます。
さらに、漁具の増加により海の汚染が起こり、海を観光資源としている地域が資源の損失に見舞われてしまうのです。

ゴーストフィッシングの改善策

現在、世界規模でゴーストフィッシングへの対策が取られています。
ゴーストフィッシング対策は、持続可能な社会にもつながるため、世界で問題解決に向けた動きが取られているのです。

未然に防ぐための取り組み

使用できる漁具に制限を設け紛失を防いだり、廃棄する漁具のリサイクル法を広めたりすることでゴーストフィッシングが起こる前に防ぎます。
また、規制を強化し、違法な廃棄や乱獲の減少もゴーストフィッシングの防止策といえます。

被害を軽減するための取り組み

対策を実施しても回収しきれなかったり、紛失してしまったりした場合に備え、海洋生物へ影響を与えない対策も必要です。
現在、微生物の力で自然に還せる漁具の開発が進められており、さらなる研究や開発が求められています。

流出した漁具を回収する取り組み

ゴーストフィッシングを減少させるためには、定期的な漁具の回収も欠かせません。
現在、漁具の回収がさまざまな規模で行われています。
漁具の回収がゴーストフィッシングの減少につながるため、欠かせない方法なのです。

ゴーストフィッシングから海の未来を守るためにできること

漁業関係者が問題解決に取り組む一方で、ゴーストフィッシング対策は、私たちにも課された課題です。
漁具をリサイクルした製品の購入や、海の問題を広めることで海の未来を守る一歩へとつなげられるでしょう。

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