バイオディーゼル燃料の今と今後

環境問題への意識が高まる中、注目を集めているのが「バイオディーゼル燃料」です。

使用済みの天ぷら油などから作られるこの燃料は、CO₂排出削減と資源の有効活用を実現する、まさに次世代の代替エネルギーとして期待されています。

バイオディーゼル燃料とは

バイオディーゼル燃料は、植物由来の油脂や廃棄される食用油を原料として作られる、軽油の代替となる液体燃料です。

廃棄される使用済みの食用油を用いて製造され、ディーゼルエンジンで使えるバイオ燃料として利用されています。

飲食店や家庭で使用された食用油は、従来は飼料用製品などにリサイクルされていましたが、昨今ではバイオディーゼル燃料に精製して再利用するケースが増加。

精製には菜種油や使用済みの食用油などが使われ、メチルエステル化という化学反応を経て生産されます。

原料となる植物油をメタノールと混ぜ合わせることで、脂肪酸メチルエステル(バイオディーゼル燃料の本体)が作られます。

バイオディーゼル燃料の利用実態

バイオディーゼル燃料は、環境への負荷を抑えられる代替エネルギーとして、自治体や企業を中心に少しずつ活用が広がっています。

特に地域単位での取り組みや、産業分野での導入が進んでいます。

地域での取り組み事例

滋賀県東近江市(旧愛東町)では1998年から「菜の花エコプロジェクト」として、地域の農地で菜種を栽培し、その種を搾って食用油を生産、使用後の廃食用油をバイオディーゼル燃料に精製する循環サイクルを確立しています。

現在では約15ヘクタールの農地で菜種が栽培され、市内のバスや公用車、お祭りの発電機などに使用され、エネルギーの地産地消を実現しています。

また、京都市では家庭から使用済みの天ぷら油などを収集し、バイオディーゼル燃料を加工する取り組みを実施。

令和4年度には年間約42万リットルを利用し、約1,000トンのCO₂を削減した実績があります。

建設業界での普及

建設業界でもバイオディーゼル燃料の導入が進んでいます。

国土交通省のGX(グリーントランスフォーメーション)政策において、建設機械の動力源を見直す新しい機械の導入や普及が支援されています。

その中で、バイオディーゼル燃料は脱炭素化に向けた有力な選択肢のひとつとして位置づけられているのです。

バイオディーゼル燃料のメリット

バイオディーゼル燃料には、温室効果ガスの削減や資源の有効活用など、環境面で多くの利点があります。

カーボンニュートラルへの貢献

バイオディーゼル燃料は生物由来の燃料のため、燃焼させてもCO₂排出はカウントされない特徴があります。

原料となる植物は成長する過程で光合成によりCO₂を吸収するため、燃焼時に排出されるCO₂は大気中のCO₂量増加を抑えられます。

廃食用油由来のバイオディーゼル燃料を使用した場合、軽油の使用により排出されるCO₂の量と比較して1〜3割程度に抑えられるのです。

リサイクル効率の高さ

廃食用油100リットルからは、バイオディーゼル燃料を約90リットル精製可能です。

このリサイクル効率の高さから、自治体や民間企業などでバイオディーゼル燃料の精製に取り組む動きが広がっています。

2023年度の調査では129団体がバイオディーゼル燃料に取り組んでいます。

有害物質排出の削減

バイオディーゼル燃料は、燃焼時に発生する硫黄酸化物がほとんどありません。

また、軽油と比べて硫黄分や重金属が少なく、黒煙の排出量も約3分の1に抑えられます。

既存インフラの活用

バイオディーゼル燃料は、エンジンを大きく改造する必要がなく、建設機械やディーゼル車でそのまま使用できます。

燃えやすさや重さは軽油とほぼ同じで、エンジンの性能にも大きな違いはないとされています。

そのため、現場でも比較的取り入れやすい燃料です。

バイオディーゼル燃料の課題

一方で、バイオディーゼル燃料の普及にはいくつかの課題も残されています。

安定した利用を進めるためには、コストや供給体制などの問題を理解しておくことが重要です。

製造コストの問題

バイオ燃料は従来の化石燃料よりも製造プロセスが多く、原料の回収や運搬、精製などにさまざまな費用がかかります。

そのため、バイオディーゼル燃料に頼りすぎると費用がかさみ、企業にとって負担が大きくなるおそれがあります。

供給体制の課題

バイオディーゼル燃料は国内外ともに供給体制が十分とはいえず、需要に見合った安定供給が課題とされています。

原料となる廃食用油や植物油の供給が需要に追いついていない状況であり、建設業で継続的かつ大規模に活用するには、原料の種類を増やしていくことが求められます。

維持管理の必要性

バイオディーゼル燃料にはごく少量の不純物が混ざる場合があり、気温が下がると燃料が流れにくくなる性質があります。

そのため、建設機械の燃料フィルターが目詰まりしやすくなるため、定期的な点検やメンテナンスが欠かせません。

バイオディーゼル燃料の今後の展望

現在では、食料と競合しないトウモロコシの芯などの食品廃棄物を原料とした、次世代バイオ燃料の開発が進められています。

次世代バイオ燃料は軽油と同じ分子構造を持つため、100%の配合でエンジンなどに利用できる点が期待されています。

藻類を原料としたバイオ燃料の研究が進められており、原料の多様化に期待が寄せられているのです。

また、株式会社ユーグレナが微細藻類ユーグレナから取り出した油脂だけを使った次世代のバイオディーゼル燃料を製造しています。

耕作不適地での培養が可能で油脂生産の効率が高いことから、エネルギーの安定供給を実現できる可能性があります。

バイオディーゼル燃料は、環境負荷を軽減しつつ資源を効率的に再利用できる燃料として、持続可能な社会の実現に向けた重要な選択肢です。

技術革新や政策の後押しが進む中、今後さらなる普及が期待されています。

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