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「ごみ問題」とは何か
ひと口に「ごみ問題」と言っても実はさまざまで、以下のようなゴミに関する問題の総称として用いられます。
・一般ゴミ
・産業ゴミ
・災害ゴミ
・不法投棄されたゴミ
さらに量が多いために焼却や埋め立てが追い付かないことや、それに伴うゴミ処理場の新設も住民の反対に遭って進まないと言った問題もあります。
ごみ問題の歴史と現状
第二次世界大戦や太平洋戦争が終結した後、復興のために都市への人口流入が爆発的に伸びたことでゴミが急増しました。
しかし当時は、人力車によってゴミを回収していたため、処分が追い付かない状態となります。処分しきれなくなったゴミは河川や陸地に放置され、ハエや蚊などが大量繁殖したことで伝染病が拡大するなど、社会問題となっていきます。
そこで昭和38年(1963年)に「生活環境施設整備緊急措置法」が制定され、各都市でゴミの焼却処理施設が作られるようになり、ゴミの収集や運搬を効率化するために収集作業の機械化も推進されました。
しかし、高度経済成長による所得の増加や家電の普及、大量生産・大量消費の経済が確立され、ゴミの量は急速に増加していきます。そこで政府は廃棄物処理施設の建設に補助金を出して施設の建設や設備強化を後押しすることで、ゴミの処分量を大きく伸ばし、一定の成果を見せました。
ところが近年、ペットボトルなどのプラスチック製品が普及したことで、また別のゴミ処理問題が発生しています。
プラスチックは軽くて丈夫で、さらに加工もしやすいことから生活のさまざまなシーンで使われるようになりました。しかし今、世界中で「プラスチックの処理方法」が問題となっています。
プラスチックごみによる問題
生活に欠かせない存在となったプラスチックですが、その処理方法について多くの問題を抱えています。
問題① 地球温暖化問題
地球温暖化とは、二酸化炭素などの温室効果ガスの増加によって地球の平均気温が上昇し、「南極の氷が溶けることによる海面の上昇」「砂漠化の進行」「台風の巨大化」「天候不順による食糧不足」などの深刻な災害を引き起こす問題です。
プラスチックを焼却処分する過程で、温室効果ガスである二酸化炭素が大量に発生することで、地球温暖化が進行することが問題となっています。
問題② 化石燃料の枯渇問題
プラスチックの原材料は資源に限りのある石油であるため、プラスチックの製造により化石燃料の枯渇に繋がってしまいます。
石油をはじめとする化石燃料は、生物の遺骸などから非常に長い年月をかけて生成されたものなので、近年の消費量を考えると再生可能な燃料とは言えません。
問題③ 海洋汚染問題
プラスチックは生ゴミとは違って自然分解されないため、焼却しない限り完全になくなることはなく、自然界に残り続けます。
そして陸に捨てられたプラスチックは雨が振ることで水に流されて海にたどり着き、海底や波などで削られて小さくなります。
小さくなったプラスチックはマイクロプラスチックと呼ばれますが、これを魚や鳥が餌と勘違いして飲み込んでしまい、結果的に死に至らしめることも問題として指摘されています。
さらに食物連鎖によってマイクロプラスチックを体内に残した魚や鳥を人間が食べることで、知らず知らずのうちに人間の体内にもプラスチックが蓄積される危険性もあります。
こんなにある……世界のゴミの量
2019年にイギリスの調査会社が発表した調査結果によると、世界で毎年21億トン以上のゴミが排出されていることがわかりました。
そして特に問題となっているのが、そのうちの16%しかリサイクルされていないという点です。
さらに日本のゴミの排出量を見ると、2018年度は一年間で4,272トンが排出されたことがわかりました。これは東京ドーム115個分に相当する量となります。この数字はあくまでも一般廃棄量であり、産業廃棄量を加えるとさらに多くのゴミを排出していることになります。
食品ロスの問題も深刻で、食べずに捨てられる食べ物の量は年間で約612トンであり、国民一人あたり毎日お茶碗約一杯分を捨てている計算となります。
こうしたゴミ問題によって「埋め立て地の不足」や「地球環境の悪化」など、多くの悪影響が生じています。
日本ではゴミ問題にどう対応しているのか?
ゴミ問題が深刻化していることを受けて、日本ではゴミ問題対策のための法律の制定が進められています。
<ゴミ問題に対する主な法律>
・循環型社会形成推進基本法
・廃棄物処理法
・資源有効活用促進法
・容器包装リサイクル法
特に処分が難しいプラスチック素材に関しては、リサイクルを活用することで環境への負荷を減らす取り組みを推進しています。
容器包装リサイクル法によって、2020年7月1日から日本でレジ袋が有料化されました。
レジ袋の有料化により、2020年11月時点でのレジ袋辞退率は7割を超える結果となった一方で、家庭のゴミ出しの際、100円均一店などで購入した安価なプラスチック製の袋を使用していることから、「プラスチックごみの流通量は大きく変わっていない」という問題も指摘されています。
今後は使い捨てプラスチック製品全般を使わないための施策について、日本をはじめ、世界各国で展開していくことが重要となってきます。