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地球温暖化は「気温上昇」だけではない
地球温暖化は単純に気温が上昇し、「温かくなっていく」というだけの変化ではありません。
地域ごとに気温の上がり幅に差があり、特に寒冷地方や標高が高い地域ほど気温の上昇率が高くなります。
そうした気温上昇による変化が、他の地域にも波及することで結果的に大きな変化をもたらします。
地球温暖化が及ぼす影響とは…
地球温暖化が及ぼす影響は多岐に渡るため、ここから一つ一つ見ていきます。
影響① 海面の上昇による難民の増加
地球温暖化によって海水の温度が上昇すると、南極の氷が溶け出します。すると熱膨張の作用で海水の体積が増え、海面が上昇する恐れがあります。
仮に南極大陸の氷がすべて溶けてしまった場合、「地球全体の海面が57メートル上昇する」と言われています。
特にマーシャル諸島共和国、ツバル、フィジー諸島共和国といった海抜が低い島国では、海面の上昇によって高潮の被害が大きくなったり、住宅や道路が浸水したりするなど深刻な影響を及ぼします。
こうした地域の人々は住む場所を奪われ、世界でも数億人が土地をなくして気候変動難民になると指摘されています。
日本への影響も深刻で、環境省の発表では海面が1メートル上昇した場合、「日本の砂浜の90.3%が消失する」と指摘されています。
さらに大阪の海岸線に面する北西部から堺市にかけては全域で水没、東京でも江戸川区、江東区、葛飾区、墨田区などのほぼ全域が影響を受けます。
参考:環境省
影響② 砂漠化の進行
地球温暖化やそれによる気候変動の影響で、地球全体で砂漠化が進みます。
特にアラビア砂漠やサハラ砂漠などの地域は、年間の降雨量が少なく、植物が育ちづらいため、大きな影響を受けます。
近年ではこれまで農耕地や森林だった地域でも「砂漠化」が進行しており、植物の多くが育つ機会を失って枯れ果ててしまっています。
影響③ 台風やハリケーンの大型化
地球温暖化の関係によって、台風やハリケーンが大型化して被害が大きくなると言われています。
台風は発生過程で熱を吸収することで、内部で水蒸気が膨張し、大きく発達します。
そのため、地球温暖化によってこれまでよりも多くの水蒸気が供給されることで、大型化が指摘されているのです。
影響④ 海水の侵入による農作物への影響
地球温暖化によって海面の水位が上昇すると、高潮や浸水被害が増加して農業用地に海水が侵入します。海水には塩分が含まれているため、塩害によって農作物が育たなくなってしまいます。
これにより、食料の供給量が減少して需要に追い付かなくなり、食料価格が急騰してしまいます。
特に日本は農作物の自給率が低く、食料の多くを他国に頼っているため、大きな影響を受けてしまいます。
影響⑤ 飲用水への影響
地球温暖化によって、海水が地下水に侵入することで真水が失われてしまい、多くの人々が生活するために必要な水を得づらくなってしまいます。
特に乾燥地帯に住む人や雪を溶かして生活用水を得ている人は世界の人口の約6分の1を占めると言われ、深刻な影響を受けてしまいます。
影響⑥ 感染症の拡大
地球温暖化によって気温が上昇すると、蚊の生息域が拡大したり、活動期間が長くなることで、蚊を媒介とする感染症の流行リスクが高まってしまいます。
蚊を媒介とする感染症には、マラリアやデング熱などの命の危機をもたらす危険な病気が多く、熱帯・亜熱帯地域を中心に流行し、2014年には日本でも感染が確認されています。
先進国による対策が急務
18世紀の産業革命以降、人間が化石燃料の使用や森林の伐採を行ったことで温室効果ガスの濃度が急上昇しています。
特に世界的に二酸化炭素の排出量が増え続けており、50年前の排出量と比較すると約3倍、100年前と比較すると約12倍に増えています。
こうした流れは日本も例外ではなく、2017年度の1年間で約11億9,000万トンの二酸化炭素を排出しました。
地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量は増加の一途を辿っていることから、地球温暖化は今後さらに進行していくと見られています。
そのため、先進国が中心となって「パリ協定の合意」や「SDGsの設定」などが進められており、二酸化炭素の排出量削減に向けた取り組みが注目されています。