深刻さを増す森林火災…日本は「対岸の火事」なのか?

近年、ニュースなどで目にすることの増えた、大規模な森林火災。
私たち人間に多くの被害をもたらすだけではなく、森で暮らす動物たちの住みかを奪っています。
さらには、森林が消失することで、木々による二酸化炭素の吸収が滞り、さらなる温暖化を招く事態に…
日本国内では、海外ほどの大規模な森林火災はほとんど耳にすることはありませんが、果たして日本はこうしたことに無関係なのでしょうか。
この記事では、海外と日本の森林火災の状況とその原因についてまとめていきます。

そもそもなぜ森林火災が起きるのか?

森林火災の原因はさまざまで、単一の事象が原因となっている場合や、複数の事象が組み合わさって起こることもあります。
ここではその代表的なものをいくつかご紹介します。

人間の活動による森林火災

人間の不注意や違法な行動が森林火災の主な原因となることがあります。キャンプなど野外での火気の取り扱いの不注意、タバコの不始末、焼畑の制御不足などがあげられます。

雷による森林火災

雷は森林火災の一因となることがあります。雷が直接木に落ちて火災を引き起こすこともあれば、雷が地表や植物に打ちつけて火災を引き起こすこともあります。

温暖化など自然要因による森林火災

乾燥した気候や風が強い日には、植物や落ち葉などの燃料が乾燥して引火しやすくなります。これにより、自然発火が発生することがあります。気候の変化については、地球温暖化が大きく影響しているとされ、その原因には人間の活動による二酸化炭素の排出があげられます。

火山活動による森林火災

火山の噴火や溶岩が森林地域に達すると、植物や樹木が燃え上がって火災が発生することがあります。

破壊的な昆虫や病気による森林火災

昆虫の大量発生のニュースを目にしたことがある人も多いかもしれませんが、こういった一部の昆虫や病気などが、時として森林の樹木に被害を与え、これにより枯れた木材が燃料となって火災が広がることがあります。

人為的な点火による森林火災

故意に放火されることも森林火災の原因となります。放火は犯罪行為であり、大規模な破壊と生命の危険をもたらす可能性があります。

いま、世界ではどのくらい森林火災が起きている?

森林は、陸地の約31%である約40億ヘクタールを占めているとされています。しかし、森林火災の数は増加傾向にあり、近年のデータでは、2019年4月と翌年2020年4月を比較すると13%も増加しているという報告もあります。
人間の生活は森林なくして成り立たず、世界で約16億人がその糧を森林に依存しているともいわれており、森林火災は地球の未来だけではなく、近々の大きな問題にもなっているのです。

参照)
WWF
FAO

オーストラリア

近年大規模な森林火災が報告されている、オーストラリア。
2019年7月から2020年3月まで、1千万ヘクタールもの土地が焼失したことは記憶に新しいところでしょう。
森林火災は自然現象の1つでもあるため、オーストラリア大陸ではバンクシア(原生植物)のように森林火災の熱を利用して種を飛ばすような生態系の進化も見られます。
しかし、近年ではさまざまな要因により火災の頻度や消失規模が大きくなっていることが問題視されています。
人間の被害はもちろん、野生動物の被害も大きく、2019年からの火災においては、コアラの約30%が被害にあったと推測されています。

カリフォルニア

アメリカ・カルフォルニア州も、乾燥した気候や高い気温によって断続的に森林火災が起きている地域であることが知られています。
しかし、近年、人的要因による火災の発生が問題視されています。
例えば、企業活動によるものや、たばこの吸い殻、花火などによるものなどがあげられ、データによると1992年~2012年までの森林火災の原因の84%のぼるとされています。

アラスカやシベリア

アラスカやシベリアなど、一般的に「気温が低い」イメージのあるエリアもあげられます。
現在、北極圏では温暖化が急速に進んでおり、非常に深刻な環境問題の1つとなっています。
2019年のデータでは、7月のアラスカで32度と過去最高気温を記録し、また、6月のシベリアの平均気温が長期平均より10度高くなるなど、深刻化する温暖化が森林火災を引き起こしているといえるでしょう。

日本では森林火災は起きていないのか

森林火災は、日本にとっても他人事ではありません。
事実、毎年1000~2000件の森林火災が起きており、近年大規模な森林火災が起きているのは、諸外国と同じ課題といえるでしょう。
日々国内で3~4件の森林火災が発生していることを考えると、私たちも身近な課題として一人ひとりが考える必要があるのです。

参照:林野庁

対岸の火事ではない!私たちにできることとは

森林火災によって失われるものは非常に大きいです。
日本では都市部に暮らしていると森林火災の直接的被害を被ることは稀かもしれません。
しかしながら、森林火災によって、農作物や生態系、温暖化など、私たちに巡ってくる被害は残念ながら必ずあるのです。
それは国内・海外ともに同様で、同じ地球で暮らし、世界とつながって生きているからこそ、他人事と思ってはなりません。
特に近年では温暖化による影響が深刻であるため、私たち一人ひとりが温暖化の原因である二酸化炭素の排出に対してさらにシビアに考え、改善のための行動に移すことが、こうした課題を解決する重要な一歩となるでしょう。

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