東南アジアにあるカンボジアは、近年、経済成長を続けている国。
縫製業や建設業によって、首都プノンペンを中心に発展している一方で、地方格差が広がっていることも近年問題となっています。
この記事では、経済的事情から学校に行くことができない子どもたちへ、教育の機会を提供した、「ゴミの学校」こと「ココナッツスクール」についてご紹介します。
貧困の連鎖が続くカンボジア
冒頭でも述べた通り、カンボジアでは経済格差によって、主に地方ではまだ教育を受けれられない子どもたちがたくさんいます。
教育を受けられないということは、単に今現在の問題にとどまらず、将来にも大きく影響を及ぼすことが大きな問題なのです。
カンボジアの貧困層の子どもは、本来であれば学校に通うような年頃から生活のために働く必要があります。
文字の読み書きができない、計算ができない、パソコンの使い方が分からない…など、学校に行けないことで得られなかったものは、将来の職業選択にも影響し、収入格差となるのです。
これは「貧困の連鎖」と呼ばれ、カンボジアだけでなく、多くの国や地域で課題となっています。
環境意識の低いカンボジアの現状
カンボジアは、ゴミやリサイクルに対する意識が低い国としても有名で、世界有数の観光地でもゴミが散乱しているのが現状なのだとか。
カンボジアではゴミがリサイクルされる割合は低く、わずか11%ほどといわれています。
しかもリサイクルされないゴミの半分ほどは焼却あるいは川に流されているとのこと。
廃棄物埋立地にもゴミがあふれ、メタンガスを放出し、火事が起きたり、気候への悪影響を引き起こしている状況です。
ゴミが授業料に!ココナッツスクールの取り組み
カンボジアには、ゴミでできた学校・ココナッツスクールがあります。
オゥク・ヴァンデー(Ouk Vanday)氏によって設立されたこの学校は、子どもたちが授業料の代わりにペットボトルなどのゴミを持ってくることで、読み書き計算やパソコンなどの授業を受けることができる学校です。
また、ココナッツスクールは、廃棄されたタイヤで壁が作られてるなど、随所にゴミが活用されています。
子どもたちのゴミに対する意識も育みながら教育の機会を与えることで、将来的にカンボジアの環境問題への取り組みや意識改革がされることも期待されています。
カンボジアでは公教育は無償とされていますが、基本科目以外の授業を受ける場合は、各家庭からの支払いが必要で、特に貧困層にとっては支払いが困難な金額でもあります。
現に、地方に暮らす貧困層の子どもは、生活のための物乞いを行うことを家庭で言いつけられストリートチルドレンとしてわずかでも収入を得なければならない状況。
普段の生活に精一杯な状況で、リサイクルなどには当然意識がいくはずもなく、現在のゴミがあふれる状況を生み出してしまったのです。
しかし、ココナッツスクールによって「ゴミはリサイクルすることで生かすことができる」ということを体幹することはできるのです。
現在、ココナッツスクールは、ボランティア教師や寄付もあって成立している状況ではありますが、カンボジアの将来のために、「ゴミを減らすこと・リサイクルを促進すること」と「子どもたちに教育の機会を提供し貧困の連鎖を回避すること」は非常に意義深いものとなっているといえるでしょう。
ココナッツスクールに掲げられたカンボジアの国旗。
これは、ペットボトルのキャップでできています。
子どもたちは身近にこれほど多くのゴミがあるという自覚をしつつ、資源を大切にする心を育むことができているに違いありません。
未来を担う子どもたちのために…
ものを大切にすること、ゴミの分別をすることなど、日々の暮らしの中でできる環境課題への取り組みはいくつもあります。
まずは私たち大人が子供たちの手本となり、こうした課題へと取り組まなければなりません。