カーボンネガティブを達成した国の取り組みとは?ブータンが示す持続可能な未来

地球温暖化対策の最前線に立つキーワードとして近年注目される「カーボンネガティブ」。

これは、二酸化炭素(CO₂)などの温室効果ガスの排出量よりも、吸収量のほうが多い状態を指し、単なる排出ゼロを超えた環境保護の最前線を意味します。

カーボンネガティブを達成した国の取り組みや、その背景や課題、さらには日本を含む世界各国が学ぶべきポイントを探りましょう。

温暖化対策の最前線であるカーボンネガティブの意義を知り、未来の地球環境を考えるヒントにしてください。

そもそもカーボンネガティブとは?

カーボンネガティブとは、二酸化炭素(CO₂)などの温室効果ガスの排出量よりも、吸収量のほうが多い状態のことを指します。
簡単にいえば、「出している量より、吸っている量が多い」状態です。

カーボンネガティブ国家の実現には、排出削減(再生可能エネルギーの導入、省エネ推進など)に加え、森林吸収源の拡大や先端技術による大気中CO₂除去策(DAC、バイオ炭、CCSなど)が欠かせません。

ブータンのカーボンネガティブ達成と主要な取り組み

世界で唯一、正式にカーボンネガティブを維持している国がブータンです。

・森林吸収源の強化
国土の約70%を森林が占め、憲法で60%以上の森林維持が義務化されています。
この大規模な天然林の吸収力が、同国の年間CO₂排出量を大幅に上回っています。

・再生可能エネルギー主体の社会インフラ
発電はほぼ全てが再生可能エネルギー(主に水力発電)で賄われ、電力の余剰分はインドへ「クリーン電力」として輸出。
その分も世界全体のCO₂削減に間接的に寄与しています。

・低炭素・有機農業・幸福度中心の政策
車両・建築物への排出基準、公共交通や自転車の普及、有機農業の推進など、多方面で低炭素化を徹底。
GDPではなく「国民総幸福(GNH)」を国家目標に据え、持続可能な社会づくりが国策の核となっています。

こうした取り組みによって、ブータンの年間排出量は約400万トン以下であるのに対し、森林などによる年間吸収量は900万トン以上にのぼり、公式にカーボンネガティブ国家と認定されています。

その他「カーボンネガティブ」に該当・近いとされる国々

・スリナム
南米北部の人口希薄な森林国。
保有する広大な熱帯林が年間排出量を上回るCO₂を吸収しており、カーボンネガティブと評価されることもあります。
しかし、公式な長期データや恒常的認定には至っていません。
また、森林減少や経済発展による排出増懸念も存在します。

・パナマ
熱帯林保全と水力発電によって、一定期間カーボンネガティブに該当したとされています。
しかし、今後の経済成長・森林変化によって持続性は不透明です。

カーボンネガティブ国家が直面する課題と将来展望

カーボンネガティブを実現している・目指している国では、以下のような課題と展望が指摘されています。

・経済開発とのバランス
森林がCO₂吸収源の大部分を占める国々は、産業化や人口増加による排出増リスクと常に隣り合わせです。
森林の違法伐採や火災、バイオマス乱伐を防ぐ持続可能な資源管理が不可欠となります。

・気候変動と外部ショックへの脆弱性
地球温暖化が加速すれば、熱帯林の火災や病虫害リスクが高まります。
カーボンネガティブを守り続けるには国際協力や気候ファイナンス、技術導入の支援も重要です。

国際的なガバナンスと報告体制の確立
公式なカーボンネガティブ認証には科学的根拠に基づく報告制度、世界的な評価・支援枠組みの整備が求められます。

カーボンネガティブ国家の意義と日本への示唆

カーボンネガティブ国家が象徴するのは、「経済成長」「人間の幸福」「自然環境の維持」を同時に追求する新しい国家モデルです。
ブータンはその実現例として、豊かな自然と国民の幸せを中心に、経済発展と低炭素化を融合させています。

一方で、達成・維持には森林政策の徹底や経済・社会システム全体にわたる持続可能性が不可欠です。
今後、日本を含む他の国も、ブータンの事例に学びつつ、自然資本の活用と温室効果ガス排出量の受付減を両立し、カーボンネガティブを目指す姿勢がますます重要となるでしょう。

LIMEX
VIEW MORE