地球温暖化が進む中、二酸化炭素(CO₂)の排出削減は世界的な課題となっています。
しかし、従来の削減対策だけでは増え続けるCO₂に追いつくことは難しいのが現状です。
そこで注目されているのが、CO₂を吸収・固定する素材や技術です。
目次
二酸化炭素固定(CO₂固定化)とは
近年、地球温暖化の影響はますます深刻化しており、異常気象や猛暑の発生頻度が増加しています。
日本政府は、2050年までに二酸化炭素(CO₂)排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の達成を目標に掲げていますが、企業活動や製造プロセスにおいて排出ゼロを実現することは容易ではありません。
このような状況下で注目を集めているのが、「二酸化炭素固定(CO₂固定化)」です。
二酸化炭素固定とは、大気中に増え続けるCO₂を吸収・取り込み、何らかの方法で大気中に放出されないように留める技術や手法を指します。
二酸化炭素固定には主に二つのアプローチがあります。
・自然による炭素固定
・人工による炭素固定
二酸化炭素固定は、自然の吸収能力だけでは追いつかない増加するCO₂を抑制する手段として、地球温暖化対策の重要な柱となっているのです。
自然による炭素固定
自然による炭素固定の代表的な例として、植物の光合成があります。
植物は成長の過程で二酸化炭素(CO₂)を吸収し、葉や幹、根などに炭素として蓄えます。
特に若い木は成長スピードが速いため、多くのCO₂を吸収することが可能です。
陸上の植物による炭素固定は「グリーンカーボン」と呼ばれています。
排出された二酸化炭素のうち、およそ12%が植物に吸収され蓄積されているとされています。
一方、海洋にもCO₂を吸収する仕組みがあるのです。
海藻や植物プランクトンが光合成によって二酸化炭素を吸収することで、「ブルーカーボン」が形成されます。
その吸収率は陸上の植物を上回るおよそ30%に達するとされ、地球規模でのCO₂削減に大きく貢献しています。
地球の表面の約7割を海が占めていることを考えると、ブルーカーボンの重要性は非常に高いといえるでしょう。
人工による炭素固定
自然の力だけでは増え続ける二酸化炭素(CO₂)を十分に吸収することは難しいため、近年は人工的な手法によるCO₂固定が注目されています。
科学技術や装置を用いて、効率的にCO₂を吸収・固定する方法には主に三つの種類があります。
1.化学吸収
大気中や排気ガス中のCO₂を、アミンや炭酸カリウムなどのアルカリ性溶液に溶かす方法です。
現在、工場や発電所などで比較的広く利用されている技術で、排出されるCO₂を直接捕まえて固定できます。
2.物理吸着
CO₂を含む排気ガスを、ゼオライトや活性炭、アルミナなどの吸着剤に接触させて固定する方法です。
特に鉄鋼業などで排出されるCO₂濃度が20%を超える高濃度ガスの処理に実用されています。
3.炭化固定
木材や竹などのバイオマス素材を燃焼または加工して炭に変え、炭として固定する方法です。
また、CO₂を液体化して地中や海底に貯蔵する技術もあり、さまざまな企業や研究機関が開発を進めています。
炭化固定は、長期間にわたってCO₂を大気に戻さない手段として注目されています。
新しい技術――CO2吸収コンクリートとは
近年、実用化が進んでいるカーボンリサイクル製品のひとつに、CO₂吸収コンクリートがあります。
このコンクリートは、セメントの代替材料として、高炉スラグや石炭灰などの産業廃棄物を活用して作られているのです。
通常のコンクリートはセメント、水、砂などから作られます。
セメントの製造過程では、石灰石などの原料を高温で焼却し、急速に冷却して生成します。
しかし、この工程では多量のCO₂が排出され、セメント産業全体で年間約4,000万トン以上のCO₂が発生しているのです。
そのため、CO₂排出削減が大きな課題となっていました。
CO₂吸収コンクリートでは、焼却工程で発生するCO₂を回収し、廃棄物と混ぜ合わせることで、セメントの代わりに使用することが可能です。
これにより、従来よりも大幅にCO₂排出量を抑えたコンクリートの製造が実現できます。
また、近年の原材料価格の高騰や供給不安の中で、セメントの一部を代替できる環境配慮型の製品としても注目されています。
CO₂吸収コンクリートが抱える課題と今後の取り組み
CO₂吸収コンクリートは、排出された二酸化炭素を削減しつつ建物や道路に活用できる画期的な素材です。
しかし、製造コストや製品の強度・耐久性など、実用化に向けた課題も依然として残っています。
普及のためのコスト削減の課題
現在、CO₂吸収コンクリートは一般的なコンクリート製品の2~3倍の価格となっています。
市場に普及させるためには、製造コストを下げる必要があります。
建物でも安心して使える強度・耐久性の確保
コンクリートはビルや道路などの大規模構造物に使用されるため、CO₂吸収コンクリートも従来と同等の強度や耐久性が求められます。
品質管理や評価の手法を標準化することで、安全性を確保しつつCO₂吸収機能を維持する研究が進んでいます。
技術改良と実証で進む普及への取り組み
低コスト化と品質確保の両立を目指し、製法の改良や実験・検証データの蓄積が行われています。
これにより、実用化に向けた課題の解決と普及が期待されています。
暮らしの中でできる、サステナブルな商品選択
CO₂吸収コンクリートのような環境配慮型製品は、私たちの暮らしや社会のカーボンフットプリントを減らす一助となります。
消費者としては、商品の選択時に「環境に配慮した素材を使っているか」「カーボンリサイクルやCO₂吸収の取り組みが行われているか」を意識することが重要です。
私たち一人ひとりの選択が、企業の製品開発や技術普及を後押しし、地球規模でのCO₂削減に貢献することにつながります。
今日から少し意識して、サステナブルな商品選択を実践してみましょう。

