昆虫の大量発生についてのニュースを見かける機会も多いのではないでしょうか。
現在、世界中で問題となっている発生は、地球温暖化が原因の一つといわれています。
目次
近年問題になっている、昆虫の大量発生
近年、世界中で昆虫の大量発生が問題視されています。
海外ではバッタの大量発生が、日本ではカメムシの大量発生が深刻化しています。
空が見えない…海外ニュースでよく聞く、バッタの大量発生
蝗害とは、トノサマバッタやサクトビバッタなどバッタ類の大量発生により起こる災害のことです。
通常、バッタは孤独相と呼ばれる単独行動を好む昆虫ですが、大量のバッタが密集すると群生相と呼ばれる生態に変異する場合があります。
変異したバッタは、食欲旺盛で羽が長くなり、繁殖力が増す特徴があります。
大量発生によって生命力や繁殖力が強まったバッタが、草木や農作物を食い荒らす被害が発生してしまうのです。
一か所の農作物を食い荒らすと次の場所へと移動するため、近隣の住民たちは食糧難へ陥ってしまいます。
食料を求めて飛び回るバッタは、1日に約130km~150km飛行するケースもあるそうです。
大量発生したバッタの被害にあった国や地域は、農作物の生産に大きなダメージを受け、経済的リスクや家畜の飼料の損失などにもつながってしまいます。
被害が深刻化すれば、飢餓や貧困へつながるとして問題視されています。
日本もカメムシ大量発生に頭を抱える
日本では、カメムシの大量発生が問題視されています。
日本各地で発生しており、全国30か所の都府県でカメムシ注意報が発令されているほどです。
現在、大量発生しているのは、チャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシなどの果樹カメムシ類です。
通常は、山林に生息しており、スギやヒノキなどを餌としています。
山林で餌が不足すると果樹園に移動し桃や梨、びわなどの果物の汁を吸って被害をもたらします。
そのため、カメムシは病害虫といわれているのです。
昆虫の大量発生は、地球温暖化が原因の1つ
昆虫が大量発生する原因として地球温暖化が挙げられます。
バッタの大量発生は、植物の増加が関係しているといわれており、異常気象によって乾燥地帯に大雨が降り、植物が通常よりも生育すると大量発生につながると考えられるでしょう。
例えば、2020年にアフリカを襲ったバッタの災害は、アラビア半島やアフリカ東部で発生したサイクロンが原因といわれています。
サイクロンが乾燥地帯で発生し、大雨が降ったことでバッタの餌になる植物の生育が促進され、バッタの大量発生につながったのです。
災害を引き起こしているバッタの中でも、サクトビバッタは、高温多湿の環境に強い特徴があります。
そのため、地球温暖化により気温が上昇し、ほかの生き物が減っていく中、生き残る可能性が高いといえるでしょう。
地球温暖化により気候変動が進むと、さらにバッタの大量発生が続出し、人々の暮らしに大きな影響をおよぼす可能性があります。
しかし、サクトビバッタは、低温では生きられない性質を持っているため、ヒマラヤをはじめとした山脈を越え日本に被害をもたらす可能性は、現在低いと考えられています。
日本でカメムシが大量発生している原因は、カメムシが餌としているスギやヒノキが豊作であったためです。
また、地球温暖化による暖冬も原因の一つと考えられています。
冬の気温が上昇したことで多くの個体が冬を超え、大量発生につながったとみられています。
将来の日本の天候や環境について知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
昆虫の対象発生は、人間の食糧に大きなダメージをもたらす
2020年のアフリカで大量発生したバッタによる災害では、10か国で合計130万haでの殺虫作業が行われました。
しかし、およそ270万トンの穀物が喪失したといわれており、その量は、約1800万人分の食料に値します。
日本でバッタの大量発生は起きていませんが、輸入している国々でバッタによる災害が発生しているため、日本にも食料ダメージがあると考えられます。
生産減少により輸入が困難になったり、価格が高騰したりなどの影響をおよぼすといえるでしょう。
直接的な被害はなくとも、現地では深刻な状況が続いており、看過できるものではありません。
昆虫の大量発生を引き起こす原因の一つである地球温暖化から目を背けずに選択・行動することが求められています。
殺虫剤や農薬だけでは根本的な解決にはならない
昆虫の大量発生を防止するためには、殺虫剤や農薬だけでは根本的な解決にはなりません。
また農薬は、結果的に私たち人間の体に悪影響を与える可能性もあります。
私たちは、地球に暮らす人間とその他の生物が共存できるよう環境問題の解決へ向けた行動をとる必要があります。