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深刻な地球温暖化の現状に、各国が対策を始めている
地球温暖化が叫ばれて久しい昨今。
毎年・毎シーズンに異常気象が報じられ、もはや当たり前のように感じてしまっている人も少なくないのでは。 しかし地球温暖化は、地球に暮らすほとんどの生物にとって多大なダメージを与えており、私たち人間に課せられた解決すべき大きな課題でもあるのです。
先進国を中心に広がる、「炭素税」
炭素税は、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出に課される税金のことを指します。温室効果ガスの排出を削減し、気候変動を抑制するために先進国を中心に導入されています。
国によってルールや課税の基準などは異なりますが、主な特徴は以下の通りです。
・気候変動対策
炭素税は、温室効果ガスの排出を削減し、気候変動への対策を進めるために導入されます。
・環境保護
炭素税は、環境にやさしい技術や再生可能エネルギーの採用を奨励し、従来の高炭素な活動を抑制することを目指しています。
・課税対象
主に大企業や産業部門: 炭素税は、通常、大規模なCO2排出を行う企業や産業セクターを対象にします。これにより、排出者が責任を持ち、削減策を検討する動機が生まれます。
・税金の算定方法
各国の取り決めによりますが、企業や産業のCO2排出量に応じて課税され、排出が多いほど、支払う税金も増える仕組みであることが一般的です。
国際的に制定される、脱炭素目標
脱炭素のための取り組みは、国際会議であるCOP(Conference of the Parties(締約国会議))でも検討されています。「京都議定書」や「パリ協定」などもCOPで制定されたもので、およそ200の国と地域が気候変動の問題と解決のための取り組みを議論しています。
二酸化炭素を排出しているのは、誰?
脱炭素は世界的な課題として掲げられていますが、実は「炭素格差」の問題があります。
富裕層ほど炭素を排出しているという現実
実は富裕層ほど二酸化炭素を排出しているというデータがあります。
World Inequality Reportによると、上位10%の所得層(富裕層)が排出する二酸化炭素は全体の47.6%を占めているのです。
フランスの炭素税は貧困層の暮らしを直撃
貧困層の二酸化炭素の排出量は、富裕層に比べて非常に少ないのにも関わらず、フランスでは炭素税の課税率が一律であることも「炭素格差」「炭素不平等」として問題となっています。
課税率が高いと、貧困層は生活のために必要な暖房を満足に使用することもできず、自動車の所有なども難しくなります。 こうした現実がさらに貧富の差を拡大させてしまっていることから、炭素税は一律ではなく所得などの一定条件のもとに課税率を変えるべきだという声も上がっています。
発展途上国は、気候変動に弱い
先進国と発展途上国を比較すると、圧倒的に先進国の排出する二酸化炭素が多いのにも関わらず、発展途上国に対しても同じように脱炭素を強いることも「炭素不平等」の問題となっています。
地球温暖化によるダメージを受けるのは、二酸化炭素を排出した国とは限りません。
私たちは同じ地球上に暮らしており、そのダメージを受けるのは発展途上国であることも少なくありません。
発展途上国は、経済成長の鈍化、水不足、農作物の生産量減少、貧困改善の困難化など、気候変動によるダメージを受けやすく、また、過去50年間の気候変動による災害・異常気象で亡くなった人のうち9割が発展途上国の人であるという悲しいデータもあるほどです。
一部の先進国の発展のために、他国に暮らす人々や、人間以外の生物に被害を与えてしまうことはあってもよいのでしょうか。
日本人は一人あたりの二酸化炭素排出量が世界でも上位にあるため、人ごとではなく、日々の暮らしから見直していくべき課題なのです。