環境問題への取り組みは、地球に暮らす私たち人間の責務であり、すべての人が意識し行動すべき課題として掲げられています。
しかし、環境課題への意識や自然災害発生時の被害には男女差(ジェンダーギャップ)があるといわれています。
この記事では、こうした環境関連のジェンダーギャップについて取り上げていきます。
そもそも「ジェンダーギャップ」とは
ジェンダーギャップとは、男性と女性の間に生じる不平等や格差のことを指します。
これは社会、経済、政治、文化などのさまざまな領域において見られ、女性が男性と比べて不利な立場に置かれることが多い現象です。
例えば、男女間の賃金格差や、女性の政治的参加の不足、教育や雇用分野での差別などがその一例です。
ジェンダーギャップの解消は、社会全体の発展や持続可能な発展を実現するために必要な取り組みの一つであり、男女の平等な機会と権利を確保することが重要とされています。
環境課題における「エコジェンダーギャップ」とは
冒頭でも述べたように、環境問題に対する取り組みには男女差があるといわれています。
近年、[SDGs」や「カーボンニュートラル」など環境問題・環境課題関連のワードをニュースなどで目耳にする機会は増えたと思います。
実際にこうしたキーワードを知っているという人は、男女ともに一定数おり、男性の方がその割合は高いというデータもあります。
しかし、環境意識や環境課題への取り組みをしているのは、ほとんどの世代で女性の方が多いという結果に。
男性の方が環境に対する情報・知識があるのにも関わらず、女性の方が環境課題への行動をしている割合が高い…
こうした男女差(エコジェンダーギャップ)はなぜ起きてしまうのでしょうか。
その理由の1つとして、エコバックの使用やリサイクルのためのゴミの分別などを「女性的」だと考える男性が一部いるということがあげられています。こうしたジェンダーバイアスが、男性が「環境問題を認識しつつ課題解決のための取り組みをしない」理由となっているのです。
特に日本では、環境問題に限らず、ジェンダーギャップが大きいといわれており、買い物やゴミ捨てなどの家事における意識差につながっている可能性も否定できないでしょう。
環境リスクが高いのは女性、という現実
地球温暖化などによる災害が発生したとき、被害を被る割合が高いのは女性といわれています。
調査によると、自然災害時に女性が性被害を受けたり、人身売買や家庭内暴力の被害に遭う割合は高くなるといわれています。
また、災害発生時の死亡率も女性の方が高く、例えば「女性は水泳を教わっていない」ために犠牲者が増えたというデータもあります(1991年バングラディッシュでのサイクロン など)。
また、自然災害発生後の社会復帰についても、男性と女性で差があるといわれており、就業できないあるいは収入が減るなど社会復帰へのリスクが女性の方がより高くなってしまうのです。
国によって程度の差はあるものの、日常に介在するジェンダーギャップが、こうした災害発生時にも男女差として如実になることは否定できません。
つまり「エコジェンダーギャップ」は単に普段の環境課題への取り組みにとどまらず、災害時にも少なからず影響を及ぼすということを忘れてはならないでしょう。
環境課題解決はすべての人間の責務である
この記事では、環境問題におけるジェンダーギャップと取り上げましたが、決して男性・女性をひとくくりにして肯定あるいは否定をしたいものではありません。
環境課題は、性別、年齢、国や地域などによらず、私たち人間が自然とともに生きていくために平等に考え取り組んでいくべきもの。特に先進国に住む私たちは、発展のために多くの自然を犠牲にしてきた歴史を軽んじることなく、積極的に課題解決のために取り組んでいくべきだといえるでしょう。