身近な海洋プラスチック問題に、私たちはどう取り組むべきか

近年、環境保護への注目が集まっています。
温室効果ガスや森林破壊など、さまざまな問題の改善が求められる中、海洋プラスチック問題は、特に改善が急がれるトピックです。
私たちが出したプラスチックゴミが海洋に流れ出ることで、海の生態系を破壊しさまざまなトラブルを引き起こします。
私たちは、この問題について実情を知り、改善を行う必要があるでしょう。

身近なものが、海洋プラスチック問題に?!

今回扱う海洋プラスチック問題とは、自然界で分解できないプラスチックゴミが海へ流れ出てしまい、生態系を破壊することを指します。
プラスチックは、私たちの生活に欠かせないものであるものの、適切に処分されなければ、海洋生物が食べてしまったり、船舶の障害となったりする可能性をもっています。

コンタクトレンズ、どこに捨てていますか?

身近なプラスチックゴミとして、コンタクトレンズが挙げられます。
アメリカのアリゾナ州立大学の研究では、使い捨てコンタクトレンズが環境汚染の一因になっているとの結果が出ています。

多くの方が使用済みコンタクトレンズを可燃ごみとして捨てている傾向がありますが、まれに「お風呂に入る前に浴室で外し、排水口に流れてしまった」といったこともあるでしょう。

使用済みのコンタクトレンズを洗面所やトイレに流した場合、適切に分解されず海洋に流れ出してしまいます。
その結果、海洋生物が誤って食べてしまい、死んでしまうといったことが頻発するのです。

なお、コンタクトレンズは、5ミリ以下の「マイクロプラスチック」にあたり、目に見えにくいことから、レジ袋やペットボトルよりも対処が難しいといわれています。
何気なく捨てているものが、環境に大きな影響を与えるのです。

使い捨ておむつを禁止する国も…

プラスチック製のカトラリーや使い捨ておむつなど、さまざまな生活用品が海洋汚染の原因となり得るでしょう。
この問題に対して各国は対策をとっており、南太平洋にあるバヌアツでは、使い捨ておむつを禁止するという大胆な取り組みも行っています。

赤ちゃんの生活必需品の制限は、利便性に大きな影響を与えます。
しかし、それらが求められるほど海洋汚染の現状は、逼迫しているのだといえるでしょう。
なお、使い捨ておむつは一見紙のように思えますが、プラスチックを含む素材からできています。私たちの身近なものの多くにプラスチックが使われていることから、今後はバヌアツのように「当たり前」だったものまで規制がかかる可能性もあるでしょう。

世界の脱プラスチックの取り組みから日本が学ぶべきこと

ここで、プラスチックゴミの問題について国内の現状を確認しましょう。
日本は、世界で2番目にプラスチックの廃棄量が多いという現状があります。
そのため、世界全体でプラスチックの使用量を減らすには、日本の取り組みが不可欠です。
なお、日本国内における一人当たりのプラスチック容器包装の廃棄量としては、2018年時点で一人当たり年間32キロといわれています。

この現状を受けて、2022年4月より日本では「プラスチック資源循環促進法」が施行されました。
この法律では、製品の設計からプラスチックの処理まで、資源循環を意識した措置を推進する目的があります。

排出されるプラスチックのみに対処するのではなく、製品作りのプロセスからプラスチック廃棄物を減らし、また再利用を目指す取り組みです。

この法律の施行を受けて、各企業が環境に配慮した商品設計や提供方法、そして再資源化に向けた製品等の自主回収など、さまざまな取り組みを進めています。
しかし、この取り組みには企業だけでなく、個人の意識改革も欠かせません。

環境保護のために企業側がプラスチック製品を減らすこと、また企業が回収を求める場合に各個人が積極的に協力すること。
一人ひとりが環境保全に取り組む姿勢が欠かせません。

海の生態系への影響は、やがて私たち人間にも影響する

海洋プラスチック問題はメディアで話題になるものの、あまり身近に感じる方はいないかもしれません。

しかし、海に分解できないゴミが排出されることで、生態系を破壊し、いずれは私たちや子孫に影響を及ぼします。

住み良い地球を永続的に守るためにも、プラスチックゴミに対する見方を変えていきましょう。

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