海で獲れる魚が変わった?!温暖化が日本の海の幸に与える影響とは

地球温暖化が問題視されている近年、海で獲れる魚の量や種類に変化が見られるようになってきました。
ここ数十年で漁獲量が激減した魚もいれば、反対に急増した魚もいます。
水産物の漁獲量の変化には、地球温暖化が関係しているといわれています。

海の温度は上昇している

日本を含めた世界の年平均海面水温は、年々上昇しています。
数年から数十年の単位で、海洋や大気の変動、地球温暖化などの影響が重なり、変化していっているのです。
長期的に見ると100年で0.55℃のペースで上昇しています。

なお、日本近海における年平均海面水温は、6年あたり1.14℃のペースで上昇しています。
日本近海の上昇ペースは、世界全体や北太平洋全体で平均した海面水温の上昇率よりも高くなっているのです。

21世紀では、今後も世界全体の海洋でも水温の上昇が続くと予想されています。
海面から水深100mまでの海水温は、今後厳しい気候変動対策を取った場合、約0.6℃、十分な気候変動対策が実施されなかった場合、約2.0℃上昇すると考えられています。

海水温が上昇すると、二酸化炭素の吸収力が下がってしまい、大気中に温暖化ガスがこれまで以上にとどまることになってしまうのです。
また、海温上昇により氷河の溶解が進めば、さらに海面が上昇すると考えられるでしょう。
私たち人間が化石燃料を燃やすほど、多くの熱が海に吸収され、安定化して元の状態に戻るのに時間がかかってしまうと専門家は話しています。

海水温の上昇が及ぼす、食への影響

海水温の上昇は、私たちの食べている食事にも影響を及ぼしています。
農林水産省の発表によると、去年1年間の全国の漁業や養殖業における漁獲量は、前年と比較するとおよそ19万トンで4.9%減少しています。
能登半島地震の影響で調査が遅れている石川県を加えても、2年連続で400万トンを下回ると予想されているのです。

これらのうち、海面漁業の漁獲量は、282万3400トンと前年より4.3%減少しています。
具体的な魚の種類を見てみると、サバが26万1100トンで18.3%減少、カツオは15万2600トンで20%減少、スケトウダラは12万2900トンで23.4%減少、スルメイカは1万9600トンで36.2%の減少です。

漁獲量が大幅に減少しているイカやサンマだけではなく、だしをとるための昆布をはじめとした幅広い水産物の入荷の減少が相次いでいるのが現状です。
水産物を扱う企業では、これまで通りの料理を提供するのが難しくなるおそれもあると不安の声も上がっています。

一方で漁獲量が増えた水産物もあります。
マイワシは68万900トンと、前年に比べて6.1%増加しました。
また、高級魚として知られている福島県のトラフグは、2010年1万840kgだったのが、2021年には2万7839kgと、15倍近く増加しています。

岩手県では、シイラの漁獲量が増加しています。
2010年に2万4413kgだったのが2021年には25万6695kgと、10年前と比べて10倍以上に増えているのです。
日本ではあまりなじみのない名前ですが、ハワイではマヒマヒという名前で親しまれています。

参照)NHK:あの魚が食べられなくなるかも 温暖化で日本の海が激変!?

求められる地産地消、地球温暖化の抑止にも

地球温暖化を防ぎ、水産物の漁獲量を安定させるためには、世界規模で取り組みを進める必要があります。
そして、世界規模で積極的に取り組むためには、私たち一人ひとりの意識も大切です。
私たち個人ができる取り組みに、地産地消・旬産旬消があります。
自分が住む地域に近い場所で獲れた旬の食材を食べることは、フードマイレージの減少に大きく貢献します。

フードマイレージとは、食料の輸送や距離にかかるエネルギー指標のことで、「食料の輸送料×輸送距離」で算出されるものです。
2001年の試算における日本の数値は、世界1位です。
2010年、2016年の試算では徐々に減少傾向にありますが、それでもなお欧米諸国と比較すると数値が高い傾向にあります。
地元の食材を購入して消費すると輸送距離が短くなり、輸送にかかるエネルギー消費量を抑えることが可能です。

地産地消は、日本の食料自給率を高めるとともに、地域経済の活性化にも役立つといわれています。
また、旬産旬消は栽培にかけるエネルギー消費量を抑えられるため、フードマイレージの減少につながるでしょう。
フードマイレージの減少は、地球温暖化の防止にも役立つため、一人ひとりが地産地消を心がけることが大切です。

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