最近、洪水・水害のニュースをよく聞くようになった理由とは?

洪水や水害のニュースをみて心を痛めることもあるでしょう。

しかし、近年増加している洪水・水害などの自然災害は、地球温暖化が原因とも考えられており、これまでの人類の行動が洪水・水害を多発させているともいえるでしょう。

最近、世界各地の洪水ニュースが増えている

最近、世界各地の洪水ニュースを見かける機会が増えたのではないでしょうか。

日本に限らずさまざまな国で自然災害発生件数が増えており、地球温暖化が関係しているともいわれています。

日本の洪水・水害発生件数推移

比較的災害が少ないといわれていた日本でも、近年災害のニュースが増えてきました。
2002~2011年の過去10年間で発生した土砂災害件数は、1年間あたり平均1150件ですが、2012~2021年の10年間で発生した1年間の平均件数は1450件と、約1.3倍増加しています。
また、がけ崩れの発生件数も毎年増加しており、土砂災害のうち、2/3以上はがけ崩れです。
また、水害による被害も増えており、1995年の被害額は約1622億円ですが、2004年には約4360億円と、10年間で2.6倍にも増加しています。

2018年には、前線と台風7号の影響を受け、西日本を中心に広範囲かつ長期間にわたる記録的な大雨が発生していたり、2020年7月には、西日本から東日本、東北地方の各地で豪雨となり、特に熊本県の球磨川の氾濫や土砂崩れが多発する水害が発生していたりと、近年、記憶と記録に残る水害が増えているといえるでしょう。

世界の自然災害発生件数推移

日本同様に、世界各地で自然災害が増えており、その規模はより大きなものが多い傾向です。
最近10年間の自然災害の発生件数や被災者数をみてみると、1970年代に比べてともに約3倍に増えています。

最近発生した大規模な自然災害には、ドバイやブラジル、ロシアの大洪水などがあります。
ドバイでは、12時間で1年分の雨が降り、大規模な洪水が発生し、道路が川となり家屋などが浸水する被害が発生しました。
ブラジル南部では、豪雨により死者100人、行方不明者130人の大きな被害が発生しています。
ロシアでは、ウラル川流域で記録的な洪水が発生し、6100人以上が避難、1万戸以上が浸水する被害が起こっています。
ニュースでたびたび報じられている通り、近年、世界各国で水害が多く発生しており、その被害も大きい傾向です。

なぜ洪水・水害が増えているのか?

近年、気候変動や都市化などの影響により、水害リスクは高まっているといわれています。
実際に、近年のデータをみてみると、年間雨量は増加傾向にあります。

地球温暖化の影響

近年、日本では大雨・豪雨が30年前と比べて1.44倍に増加していると報告されており、雨の降り方が変化している原因の一つとして地球温暖化の影響が挙げられています。
気象庁の発表によると、このまま温室効果ガスが高いレベルで排出されていくと、今世紀末には大雨の日数やゲリラ豪雨の頻度などが20倍以上に高まると推測されています。

都市化の影響

日本にある都市の多くは、地盤沈下や天井川の形成などによって海や河川の水位より低い土地に作られています。

そのため、河川から水が溢れたり、堤防が決壊したりすると、大きな被害が発生してしまうと考えられています。

また、都市化が進み、流域の多くが市街地となり、自然遊水地が減ったことも水害が増えた原因の一つです。

遊水地がないと短時間に大量の雨水が河川に流れ込むため、水位上昇が急激に引き起こされます。

森林の減少

洪水・水害は、森林の減少によっても引き起こされます。

森林は大量の水を保ち、水源となるため自然のダムとも呼ばれており、土の隙間に雨や雪解け水が染み込むことで、多くの水を蓄えているのです。

森林が荒れたり、減少したりすると、洪水を緩和させる自然のダムの貯水機能が失われ、豪雨の影響による被害が拡大しやすくなります。

洪水や水害が増えることによるダメージ

地球温暖化や都市化、森林の減少などにより洪水や水害が増えると、そこで生活する一人ひとりは、人的被害・生活環境の損失などの被害を被り、社会全体でみると経済的損失が深刻な問題となります。

人的被害・生活環境の損失

洪水や水害が増えると、けがをする人や亡くなってしまう人も増えてしまうとともに、家屋が流されて生活の場を失ってしまう人も多く発生し、人的被害・生活環境の損失が大きくなると考えられます。

経済的損失

洪水や水害による被害を受けると、施設や道路などの復旧が必要となるとともに、農地被害によって農作物が収穫できなくなる損失も生じるリスクがあります。
2021年8月7日~9月10日に生じた豪雨による日本の水害被害額は、約2300億円といわれています。
また、ブラジルのリオグランデドスル州で発生した豪雨では、経済損失が46億レアル(約1405億円)以上に上ったといわれているのです。
アメリカは、気候変動に伴う異常気象により、年間で1500億ドル(約22兆6000億円)の経済的被害が発生していると発表しています。
短期的な損失はもちろん、農地被害によりその後の経済にも影響を与えるため、水害の被害は非常に深刻といえるでしょう。

続く異常気象には長期的な取り組みが必要

近年増加している異常気象による洪水や水害の頻度を減らし被害を抑えるためには、一人ひとりが地球温暖化への取り組みを意識し、長期的に継続していくことが大切です。
人間の行動の積み重ねが原因で起こる自然災害を減らすためには、これからも小さいことから積み重ねて改善していく必要があるでしょう。

LIMEX
VIEW MORE