近年、「飛び恥」という言葉が生まれ、航空機利用が問題視され始めています。
航空機が排出する二酸化炭素量に意識を向け、地球温暖化対策として何ができるのか、一人ひとりが考えていくことが大切です。
目次
「飛び恥」なる言葉まで…航空機(飛行機)は選ぶべきではないの?
現在の社会では、「飛び恥」という言葉が生まれるほど、航空機の利用が環境へ大きな影響を与えていることをご存知でしょうか。
航空機は、さまざまな移動手段の中でも、特に二酸化炭素の排出量が多いため問題視されているのです。
そのため、脱炭素社会に向けて移動手段に航空機を選ばない選択肢が注目を集めています。
しかし、本当に航空機の利用は避けるべきなのか気になっている人もいるでしょう。
航空機利用はエコではない…
近年、世界的に脱炭素への意識が高まり、公共交通機関を使うよう勧められていますが、実は航空機は最も二酸化炭素を多く排出する交通手段なのです。
航空機は、飛行中に大量の二酸化炭素を排出するだけではなく、窒素酸化物や水蒸気も放出しており、これらが地球温暖化や大気汚染の原因となる可能性があるといわれています。
長距離フライトは、他の移動手段と比較しても圧倒的に二酸化炭素の排出量が多く、環境への負荷が心配されています。
「飛び恥(フライトシェイム)」なる言葉も誕生
「飛び恥」は、航空旅行をすることに対する罪悪感を表す「フライトシェイム」を日本語にしたものです。
2018年にスウェーデンで生まれ、翌年から北ヨーロッパ全体に広がっていったこの社会運動は、環境問題への意識の高まりから、地球温暖化に悪影響をおよぼすガスの排出を削減することを目的としています。
「飛び恥(フライトシェイム)」運動が広がるにつれ、航空旅行を避けたほうがよいのではという意識をもつ人が増え、多くの人が飛行機の利用について考えるきっかけとなりました。
新型コロナウイルスの時期にはCO2排出量の差が話題に
新型コロナウイルスのパンデミックにより、世界中の移動が制限された2020年の航空機による二酸化炭素排出量は、世界全体で約5億トンでした。
2019年には、世界全体で約10億トンの二酸化炭素が排出されていたため、およそ半分ほどにまで減少しています。
二酸化炭素量の差が話題となり、飛行機の利用が環境にどれだけの影響を与えるか、航空機を利用しないほうがよいのか、などを考え直すきっかけとなりました。
環境のためには航空機は使用しない方がいい?
遠方に行く際や、限られた時間での旅行や出張では、移動時間を削減するために飛行機を使いたいと考える場面も多いでしょう。
飛行機から見える美しい空の景色も、旅行の醍醐味といえます。
しかし、環境への影響に意識を向け、飛行機以外の交通手段はないかと、一度考え直してみるのがお勧めです。
距離やかかる時間によっては、新幹線に変更するといった環境に配慮した選択肢も視野に入れましょう。
エコでサステナブルな旅の選択を
飛行機を予約する際に、安さや早さを重視して選ぶ人は多いのではないでしょうか。
近年、SkyscannerやGoogleフライトなどの検索サイトで「二酸化炭素排出量が少ない」航路を選べる機能が増えています。
飛行機は、離着陸時に大量の二酸化炭素を排出するため、直行便を選んだり国内移動であれば電車を利用したりなど、エコでサステナブルな選択肢も考えてみましょう。
カーボンオフセットへの取り組み
カーボンオフセットとは、日常生活や経済活動を続けるために避けられない二酸化炭素をはじめとした温室効果ガスの排出を、ほかの場所での温室効果ガス削減活動への資金提供により埋め合わせる考え方です。
環境負荷を減らす取り組みとして注目を集めており、日本でもJALやANAなどの航空会社がフライトオフセットの仕組みを提供しています。
例えば、JALの「JALカーボンオフセット」では、搭乗する航空機の二酸化炭素排出量を計算し、排出量に相当する削減活動に投資することで、地球温暖化を防止する活動に参加できる機会を提供しています。
また、ANAの「カーボンオフセット プログラム」でも、利用するフライトの二酸化炭素排出量を計算し、クレジットとして購入することで、その排出量を相殺する仕組みが作られているのです。
カーボンオフセットの仕組みを利用することで、自分の旅行が環境に与える影響を少しでも削減でき、サステナブルな未来の実現に貢献することが可能です。
まずは知ろう!自分の二酸化炭素排出量
私たちは、航空機の利用だけでなく、日常生活でも二酸化炭素を排出しています。
そのため、まずは自分がどれくらいの二酸化炭素を排出しているのかを把握することが大切です。
排出量を知ることで、できるだけ削減や調整する意識を持てるようになります。
環境への影響を考えた行動を心がけ、サステナブルな未来に向けて一歩を踏み出しましょう。