海を守れば地球の未来は変わる!「ブルーカーボン」と温暖化の関係

現在、地球温暖化の抑制方法として、ブルーカーボンが注目を集めています。
海の生態系は、地球上の二酸化炭素排出量を減らせる可能性があるのです。
その反面、ブルーカーボンが期待される植物や土地は、年々減少傾向にあります。
森の木や花のみならず、海の環境を守ることが、私たち人間の生活を守るためにも求められているのです。

ブルーカーボンとは

ブルーカーボンとは、海で生きる植物や、干潟・湿地と呼ばれる土地が二酸化炭素を吸収し、海底に貯めた炭素のことを指します。
ブルーカーボンによって貯められた炭素は、再び地上に排出されるまでに数千年の時を要します。
この仕組みが、地球環境改善への効果が期待されている1つの要因です。
ブルーカーボンが期待される植物や土地には、マングローブ林・藻場・干潟・湿地の4つが挙げられます。
これらは総称して「ブルーカーボン生態系」と呼ばれ、注目を集めています。

海草や海藻によるCO2の吸収量

2022年、我が国が世界で初めて海草や海藻による二酸化炭素の吸収量についての報告を行いました。
国土交通省によると、海草や海藻による二酸化炭素吸収量は、1年間で35万トン程度吸収していることが報告されました。
また、国土交通省発行の「海の森ブルーカーボン」によると、地上の草木が吸収する二酸化炭素量が19億トンであるのに対し、ブルーカーボン生態系が吸収する二酸化炭素量は約11億トンであることが公表され、ブルーカーボン生態系への期待がなされているのです。

地球を守る対策として注目を集めている

ブルーカーボン生態系は、これまで地球温暖化抑制への期待がなされてきた地上の生態系である、グリーンカーボンに次ぐ新たな打開策として、注目を集めています。
しかし、ブルーカーボン生態系は、年々失われてきていることをご存知でしょうか。
マングローブ林が減ったといったニュースを耳にしたことがあるかもしれません。

ブルーカーボン生態系は減少傾向にある

ブルーカーボン生態系の減少に至った理由は、伐採や土地の開発が挙げられます。
国際連合環境計画(UNEP)公表の「Blue Carbon」によれば、1年間で2割~7割程度の減少が見られたと報告されました。
我が国におけるブルーカーボン生態系も、例外ではありません。
国土交通省公表の「日本全国の湿地面積変化の調査結果」によると、日本の湿地面積は、明治・大正時代に比べ、約130キロ平方メートル、割合にして約61%もの湿地が減少していることが判明し、ブルーカーボン生態系の減少は、明らかであるといえるでしょう。

日本や世界のブルーカーボンへの取り組み

ブルーカーボン生態系保全のために、世界各国でさまざまな取り組みが行われています。
ブルーカーボン生態系に関する問題は、地球温暖化を食い止めるために、世界で取り組むべき問題なのです。

日本の取り組み

環境省では、藻場における二酸化炭素吸収量の算定以外に、民間企業や民間団体、地域の小学校などが実施しているブルーカーボン生態系の保全活動やその土壌開発などをサポートしています。
また、国土交通省では、ブルーカーボンを活かすための方法を検討する「地球温暖化防⽌に貢献するブルーカーボンの役割に関する検討会」の創設が、水産庁では、地域での保全活動の支援となるよう、各地域の取り組みをシェアしたり、磯焼け対策ガイドラインの制定を行ったりなどの活動が実施されています。
日本では、政府のみならず、国民も一丸となって、ブルーカーボンを守るために活動しているのです。

海外の取り組み

世界では、その豊富なマングローブ林の保全や立て直し事業が実施されています。
そのほかには、新たな人工湿地の創設や藻場の立て直し事業、保全活動への資金提供なども行われています。
さらに、ブルーカーボンを広く知ってもらうべく、講座の開設を行っている国もあり、さまざまな角度から、ブルーカーボンを守るための活動が実施されているのです。

ブルーカーボンの力で地球を守る取り組みを広げよう

地球温暖化を抑制するためには、ブルーカーボンの持つ力を活用することが期待されています。
私たちの未来を守るため、そして、ブルーカーボン生態系を守るためにも、知識の共有や保全活動を広めることが、求められています。
それに併せ、地上の植物であるグリーンカーボンを守ることも重要です。ブルーカーボンに併せ、グリーンカーボンの保全にも、意識を向けていきましょう。

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